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迷い道

2022年7月26日

梅雨が明けて本州に高気圧が張り巡らされると、夏山シーズン到来となる。


沖縄に来てめっきり夏山に(冬山も)登ることもなくなってしまったが、一時、日本百名山全山踏破を目指していたことがあった。結局50座にも満たないうちに現在に至るのだが(諦めてはいない)、山を本格的にやれば必ず遭難というリスクに直面することになる。


最近では高齢者の登山が劇的に増えると同時に、高齢者の遭難のニュースも珍しくなくなった。自分は常に単独行だったので、装備や計画には細心の注意を払っていたが、実際に山に入ると気象条件の変化や疲れから、遭難に至ることもある。


北は利尻山や知床連山から、西(南)は伯耆大山まで登ったが(もちろん沖縄の於茂登岳や嘉津宇岳も)、簡単な山でも遭難する時はする。しかしその場面に瀕して冷静に対応すれば、無事に下山出来るものだ。


自分も何回か遭難しそうになったことがある。八ヶ岳の赤岳から清里側に下りる長大だがそれほど難しくないルートで、麓のバスの時間が迫っていたため、走るように下っていると、途中で道が消えてしまい、獣道に迷い込んだことに気が付いた。すでに森林帯に入っていて辺りは薄暗かったが、渓流の音が意外に近くに聞こえたので、このまま下っていきたい衝動に限られたが、持っていたトマトを齧って一服すると、それが一番危険なパターンだという事を思い出した。


「道に迷ったら尾根に戻れ」の鉄則を思い出し、勿体なかったが折角下って来た道なき道を1時間ほど戻ると、見覚えのある尾根に出た。と同時に、自分があり得ないところで、ルートから外れたことを知った。暗くなっていたが、ルートに戻ると何という事はない。懐中電灯で足元を照らしながら2時間ほどで麓に辿り着いた。冷静に尾根に引き返した自分の判断に感心したものだ。


よくあるのが一番の近道だということで、沢伝いに下山しようとして滑落や進退窮まってビバークするパターン。夏場で装備も万全なら1泊のビバークくらい何ということはないのだが(というか、それも想定して準備しなければならない)、明日仕事だから焦って無理に下ろうとすると、事故になることがとても多い。


迷ったところまで戻れば、自分が何故迷ったのか知ることが出来る。

道に迷ったら分かるところまで引き返せ、これは登山に限らず仕事でも人生でも全てに言えることではないだろうか。

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