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時代とスーパースター

2023年3月28日

先週はWBCで日本中が大盛り上がりだった。

全ての選手やコーチ陣がそれぞれの役割を果たし、お互いを信じて掴み取った勝利は多くの人に勇気と力を与えたことだと思う。


それにしても大谷翔平だ。

技術や体力も世界屈指ながら、チームを鼓舞する情熱的なパフォーマンスや、勝っても相手をリスペクトするコメントは真のスーパースターであることを証明している。恐らくこの先100年は語り継がれるプレーヤーを、今リアルタイムで見れていることに幸運を感じずにいられない。同じ気持ちの人も多いはずだ。


自分が「スーパースター」という言葉を初めて知ったのは、幼少の頃に読んでいた「ドカベン」の一コマだったと記憶している。明訓高校の新入生投手・里中が捕手に主人公の山田を指名したことで、それまで捕手だったキャプテンの土井垣がファーストにコンバートされるのだが、その時に悔し紛れに「スーパースターが観客に尻を向ける必要もないな」的なセリフを放ったのだ。今考えると随分と図々しいのだが、それから「スーパースター」という言葉が気に入り、スーパースターでもないのにメールアドレスやパスワードなどに使用し失笑を買っていた。


自分の時代のスーパースターは王や長嶋であり、プレーも人物的にも間違いなく「スーパースター」だったが、まだ「世界的」ではなかった。イチローも紛れもないスーパースターだが、職人肌でコメントも難解で、他人よりも自分をリスペクトしてしまうのが少し残念だった。「それはそうだろう」とは思うが、誰からも好かれるかというと、どうだろうか。少し違う気がする。(個人の意見です)


大谷はとても人懐っこく、いつも楽しそうに野球をしている。何度も何度も同じことを聞かれるインタビューに辟易しているはずだが、優しく丁寧に対応する。コメントも自分の言葉でユーモアも交えて完璧だ。容姿や振る舞いも美しい。しかし決して運と才能だけでやって来たのではなく、幼少の頃から曼荼羅チャートを使った明確な目標設定とそれを実現する行動力と凄まじい鍛錬の成果なのだろう。見習うべきことが沢山ある。


見習うと言えば、栗山監督も素晴らしい。選手を信じる、と口で言うのは簡単だ。上手く回っている時はいいだろう。しかし、選手が思うような結果を残せなかったときでも信じ続けるのは難しい。不振に喘ぐ村上を最後まで使い続けたからこそ、準決勝、決勝とあの結果を導き出せたのだ。理論派であり、柔らかい物腰や話し方とは裏腹に、強い信念と情熱を持っているからこそ選手も監督を信頼し、素晴らしいチームの纏まりを生み出したのだろう。栗山監督にも学ぶべきものが沢山ある。


今回のWBC。同じ時代の同じ国に生まれたというだけで、(見てる側は)何も努力することなく、お金を払う事もなく、興奮と勇気と楽しさを与えて貰えることが他にあるだろうか。家でテレビを見ているだけで、日常に楽しい変化と興奮をもたらしてくれるのだ。


全てのWBC関係者や選手に感謝すると同時に、何かのカタチで恩返し出来るようになりたい。誰もがそう思っているはずだ。

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