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沖縄そば店に入れない問題

2023年5月16日

20年前に沖縄に移り住んだ時は沖縄そばを食べるのに苦労はなかった。職場の近くにあり、住まいの近くにあり、休日に車を走らせればやんばるの名店で難なく食べることが出来た。それが最近はどうだろう。考えてみるとここ1年はイオンで買った「照喜名製麺所」の麺とインスタント出汁で自作したものだけで、外で食した記憶はなかった。


コロナで外食できなかったこともあるが、沖縄そば店が少なくなっている気がして調べると、軒数が減っているのかは分からなかったが、生産量は確かに減っているらしい。一方で沖縄そば専門店が270軒前後に対し、ラーメン専門店は激増して350軒に迫る勢いである。かといってラーメン店が好調というわけでもないと思う。新しもの好きの県民は「新しい店」にはこぞって行くが、しばらくすると閑古鳥が鳴いて、気が付くと閉店していたという店も多い。近所でも新しいラーメン店が出来ては潰れて新しいラーメン店に名前が変わるの繰り返しだ。

 

ここ最近では観光客が戻ってきて有名な沖縄そば店に県民がさくっと立ち寄ることは出来なくなっている。近所にお気に入りだった「すーまぬめえ」や「EIBUN」という有名店があり、以前はいつでも待たずに入ることが出来たが、最近は観光客が狭いスジに列をなしていて近づくことも出来ない。お気に入りだった「淡水」や「おもろそば」なんかもとっくに閉店している。

 

今県民が沖縄そばを食べるとなれば、沖縄そば専門店ではなく「食堂」ではないだろうか。食堂と言えば近所に「やんばる食堂」がある。コロナで今はどうなったか分からないが、24時間営業だったはずだ。会社員で凄まじい残業に喘いでいた頃、遅い夕食を食べるのはやんばる食堂だった。初めて入って白いカレーを衝撃とともに食べ、次の日は沖縄そばを食べに寄ったら、「夕べも来たわね」と声を掛けられた。この店は深夜でも女性(オバー)3~4人で切り盛りしていて、声を掛けられてとても嬉しかったのを覚えている。その隣に今はないが、「軽食の店ルビー」という食堂もあった。(泊店は健在) 揚げ物中心のメニューなので店に入るとかなり濃い揚げ物臭が全身にはりつく。近所の沖大OBに聞いたが、「お前今日の昼メシ、ルビーだったろ!」と学生でいい合うくらいだったというのも分かる。

 

SNSがここまで発展すると、「知る人ぞ知る」や「地元の名店」に観光客が押し寄せ、行く店のなくなった地元民は仕方なく「不味い店」か自分で作るしか選択肢がないという寂しくも悲しい時代になったのかも知れない。

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