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守るべき地場産業

2024年4月1日

学生時代は地理が一番好きで得意な科目でした。地図が好きで、「この地形は実際にどんなところだろうか」とか「この街はどんな賑わいがあるのだろうか」と空想するだけでなく、自分の空想が正しいか確認する旅が好きでもありました。


国内外色々な場所を旅行しましたが、名所旧跡や寺社仏閣を見ても、最初の15分で飽きてしまったりします。一応「ふむふむ」や「ほほー、なるほど」と興味がある風を装いますが、実際は写真を数枚とって満足してしまいます。それよりもその土地が生み出す「モノ」に興味が尽きません。


大学でも「地場産業」(商業地理)を専攻しました。ゼミでは当時まだ賑わっていた「岐阜市」(繊維)、「瀬戸市」(陶磁器)、「豊田市」(自動車)、浜松市(楽器)などを巡り、「日本には様々な土地で様々なモノが作られてるんだなあ」と地図では知ることの出来ない地場産業にさらに惹かれていきました。


社会人になってからは「輸入」に携わるようになり、海外にも日本と同じように色々な都市で色々な地場産業があることを知るようになります。フランスから化粧品やプレタポルテを輸入していても、ネクタイやスカーフはイタリアのコモ湖周辺(シルク)、アイペンシルはドイツのニュルンベルグ(文房具)、時計はスイス、一部のニットはモロッコ(織物)というように、フランスメーカーでも特定のアイテムは他国に製造を委託していたりするのです。

 

そんな中で鯖江(グラスウェア)や豊岡(鞄)に関わる仕事をする機会があり、また日本の地場産業に対する思いが沸き起こってきたのです。

日本の地方は高齢化が都市部より早いスピードで進んでおり、産業の衰退、伝統工芸の後継者不足、限界集落の拡大や災害による離村など、地方の報道を聞く度に暗い気持ちになります。

 

ロジスティーダジャパンが運営するcanosaという工芸品ショップでも、工芸品だけでなく地場産業が生み出す新しい製品を取り扱っています。

五泉市(ニット)、今治(タオル)、桐生(シルク)、かほく(軽量繊維)、豊岡(バッグ)、児島(デニム)など、日本が誇るメイドインジャパンのクオリティを世界に紹介していくことで、微力ながら少しでも地方に貢献して元気を取り戻していきたい。そうすればきっと日本全体が元気になります。それがロジスティーダジャパンの使命だと思っています。

 

まだまだcanosaでも紹介していきたい製品が日本中に溢れています。自分が知らなかった地場産業を知るたびに興奮しますし、もっと知りたいと興味は尽きません。「日本は欲しいものにあふれている」。使い捨てよりも、いいものを長く使って育てていく文化。かつての日本を取り戻していくことが、最近忘れがちなSDGsではないかと思うのです。

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