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令和のエイプリルフール

Apr 9, 2025

先日ニュースを見ていると、あるお弁当チェーン店が発信した「ライスの販売を中止する」というエイプリルフールのジョークに久しぶりに笑ってしまいました。時勢を捉えているため「そうだよなー」と一瞬信じてしまいましたが、ウィットに富んでいて誰も傷つけないエイプリルフールに相応しいジョークと感心もしました。


しかし、その後に「不謹慎だというクレームが殺到して削除した」ということを聞き、本当にもう日本では冗談も許されない国になってしまったと暗澹たる気持ちになりました。政府の施策に対する風刺も効いたこのジョークに真剣に抗議するという人々は、いったいこの国をどのくらいつまらない世の中にしたいのでしょうか。そのジョークの裏に「もう企業努力だけではどうにもならないから、マジでそうしたい気持ちっすわ、実際」とか、「4月1日くらいジョークに掛けた本音を言わせて」とかいう意味があるとか思わないのでしょうか。


実際賛否両論あり、擁護派もいるようですが、否定派の人々は、毎日その弁当屋のライス(とオカズ)しか食べておらず、生死に関わるのかも知れません。しかしそれであれば、クレームの前に自分の生活スタイルを変えるべきではないでしょうか。「病気で自宅から一歩も出られず毎食の弁当が生きる糧」とか「介護で自炊できず弁当が生命線」とかいう人もいるのでしょう。しかし実際にはそういう大変な問題を抱えた人たちは企業にクレームなんてしている余裕はないはずです。ただ「僅かの不規則性」が受け入れられずに、実際はラーメンばかり食べている人でも、規則から少しだけ逸脱した人なり企業を叩きたいだけなのではないでしょうか。そして相手が「削除」すれば自分の意見が認められたと勘違いして、一定の満足感を得られるのかも知れません。誰でも簡単に自分の意見を言えるようになったのはいいですが、少し厳しすぎませんか、あらゆることにこの日本は。もう真剣に貝になりたいと思ったりする昨今です。(ならないけど)

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