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  • hiroyukikira

LOVE 沖縄そば

県外出身者の私が初めて沖縄そば(八重山そば)を食べたのは石垣島の白保の民宿だった。

もう25年前になるが、その時の記憶は鮮明だ。


2週間近く会社を休めることになったが、急だったこともあり海外旅行を諦め、国内旅行でいい場所を探していた。その当時好きだった椎名誠が白保の海について書いているのをみて、石垣島、それも白保に即決した。先島はもちろん沖縄も初めてだったが、その当時の沖縄は今より遠かったように思う。まだ年間400万人足らずの入域者数だったし、外国人観光客なんて全くいなかった。自分の周りにも沖縄に行ったことがある人間は少なかった。


泊まった民宿はおばーが一人で切り盛りしていて1階が食堂になっていた。宿泊者も朝晩の食事はその食堂で食べる。周りに店がないので、夜は地元の人がよく飲みに来てた。自分は初日に泡盛の一升瓶をキープし、それがなくなったら帰ろうと気取っていた。その民宿、というより食堂は食事が本当においしくて、それを肴に飲んでいたら3日で飲み干してしまった。まだ帰りたくないので、また一升瓶を注文して飲んでいたが、台風で終日外に出られない日があった。昼食は付いてないので、下に降りておばーに何かないか、と聞くとそばを作れるという。断る理由もなく注文すると、出てきたそばはラーメンの出来損ないのようなものだった。(と当時は思った) 


麺は太くポソポソで具もネギと三枚肉で寂しく感じたが、スープが絶品だった。するとそのスープにはこの麺が合っている、というよりこの麺でこそ、と感じるようになった。八重山そばは沖縄本島のそばと違い、ちゃんぽん麺みたいに太い丸麺なのだが、ここのはそれが縮れていてスープとよく絡んだ。それにコーレグースの液体だけでなく島唐辛子そのものを潰しながら食べるといくらでも食べれた。隣ではおばーが近所で貰ったというヤシガニを一心不乱に食べていて、少し分けてくれるのを期待していたが、その気配はなかった。結局ヤシガニはそれから25年以上経った今でも食べたことがない。


結局その民宿では5本の一升瓶を空けて、また東京での殺伐とした日常に戻った。

縁あって18年前に沖縄に移り住み、毎日沖縄そばを食べれるような環境で生活できることになったが、本当に毎日沖縄そばを食べていた。毎日食べても全く飽きないのが沖縄そばだ。日本人が味噌汁やご飯を飽きることがないように、沖縄で食べる沖縄そばに飽きることはない。色々な店の沖縄そばを食べ歩き、食べ歩きブログのようなものもやった。スーパーには沖縄そばの麺や出汁が普通に売っていて、それで作るとフツーに美味しい沖縄そばが出来る。しかし実家に買って帰って作って食べると不思議と美味しくなかった。

沖縄そばは、沖縄のおばーが沖縄で作ったものが最高と信じている。






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