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  • hiroyukikira

Commercial Invoice と Proforma Invoice

令和5年10月から、消費税の仕入税額控除の方式としてインボイス制度が開始されます。

「適格請求書発行事業者」だけが『適格請求書』(インボイス)を発行できるからインボイス制度というらしいのですが、日本語で「適格請求書制度」と言えばいいのに、何でもカタカナ(英語)にして一般国民に分かり難くするのはいつもの事ですね。


我々貿易に携わっている人間ならインボイスと言えば昔から「INVOICE」(仕入書)のことで、貿易に不可欠な書類の一つです。INVOICEにも色々ありますが、最も馴染み深いのはCommercial InvoiceとProforma Invoiceだと思います。



Proforma Invoiceは、Commercial Invoiceの発行に先駆けて発行される見積書のようなもので、Proformaの意味通り、仮のインボイスといえますが、通関上は細心の注意が必要です。

海外との取引の過程で見積りは必須ですが、この場合は通常Quotation(見積書)が用いられます。次の段階で、当局と輸入の事前相談をしたり、L/Cを利用する銀行への提出や、外貨割当等の制度がある輸入側国で事前に政府から割当を受ける申請用としてProforma Invoiceを使ったりしますが、取引価格や取引条件が定まっていない段階で、商品情報やおおよその価格見積りが必要な段階で発行されることが多いものですが、荷主様からの要望でこちらを輸入申告の際に仕入書として使用することもあります。


Commercial Invoiceは貨物の出荷時に発行される船積み書類の一つですが、これをもとに決済を行うわけですから請求書(請求明細書)でもあります。

Commercial Invoiceには輸出者と輸入者の名称と住所、製品名と品番、個数、単価、合計額、通貨、HSコード、取引条件、支払条件、原産国、納期、発行日、発行番号等が記載されています。


輸入申告はProforma Invoiceで行い、決済用に後からCommercial InvoiceやDebit Noteが発行される場合は大きな注意が必要です。

双方の価格が同じであればいいのですが、発行国によってはどういう意図かProforma Invoiceの価格は著しく低く記載し、Commercial InvoiceやDebit Noteで実際の取引金額を記載する事があるのですが、これは大変危険です。何故なら輸入申告時の申告価格に差異が生じて、税額も変わってくるからです。


これを意図的に行う輸入者はもはやないと思いますが、こういう非違行為を検査するために税関は輸入者に対して定期的に事後調査を行います。調査方法はハッキリとは言えませんが、基本は決済金額と申告金額が一致していることを重要視します。


輸入申告に用いたProforma Invoiceの価格が決済に用いたCommercial InvoiceやDebit Noteの価格を下回る場合、その差額と正しい申告価格の10%に相当する過少申告加算税が課せられます。或いは、輸入者が課税価格等の基礎となる事実について隠蔽又は仮装行為を行い、それに基づいて申告をしていたときは、基礎となるべき税額の35%に相当する金額の重加算税が課されます。


私もまだ駆け出しの貿易担当者だったころ、過少申告加算税をガッツリ持っていかれたことがあります。当時はコレクションショーなどで使われるサンプル品などは殆どProforma Invoiceで申告していたため、後で直接マーケティング部やPR部にDebit Note(請求書)が来ていたことも知らず、税関に決済の記録を調べられて申告価格と相違していたことが判明したわけです。

オフィスでも素敵な服を着て「アローアロー」とフランス語が飛び交うマーケティング部のお姉さま方など、当時の私から見れば異次元のスーパーウーマンで対等に話など出来ませんでした。



たまに遅延の件で呼びだされて「スス…、ストライキのCDG(シャルルドゴール空港)で1週間ほど止まっています…」などと言おうものなら、「なら今すぐ飛んでアナタが直接運んで来なさい!」と言われる位ですから(今ならパワハラですね)、「Debit Noteが来ているなら教えてくれなきゃ困まるよ!」等と言えるわけもなく、税関職員にたっぷり絞られ、経理部長からも厳重注意され、居酒屋で酩酊するしかありませんでした。

それでも一番優しそうなお姉さんに勇気を振り絞って「あ、あの、デ…Debit Noteが来たら、コ、コピーを取らせて頂けないでしょうか」とかわゆくお願いして、何とか事後調の前に修正申告を済ませたりするのです。


ロジスティーダジャパンはお客様の利益を守りながらも、適正な業務運営を図り、関税の申告納付その他貨物の通関に関する手続の適正かつ迅速な実施を確保することを第一に考えています。インボイスや輸出入申告でご相談があればいつでもご相談下さいませ。




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