オーストラリア・ニュージーランド産ワインの輸入販売
- 9月2日
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ワインの輸入には、多くの規制と手続きが伴う複雑なプロセスが必要です。特にオーストラリアやニュージーランドなど、日本とEPAを締結している国からの輸入は、関税面で大きなメリットがありますが、その適用には細心の注意が求められます。オセアニアのワインは日本市場でも高い人気を誇り、法令に沿った準備と現実的なコスト試算が成功への鍵となります。
1:法令を遵守したワイン販売の第一歩
国内でワインを販売する場合、まず酒類販売業免許や卸売業免許の取得が必須となります。輸入ワインの場合、税関での手続きに加え、国内販売時には酒税法・食品表示法に基づいたラベル表示が求められます。
品目名、原材料名、アルコール度数、内容量、輸入者名や住所の記載など、単なる翻訳ではなく法令に沿った表記が不可欠です。過去にこの作業を軽視して輸入した業者が税務署から指摘を受け、ラベルの張り替えに膨大なコストと時間を要した例があります。こうしたラベリングは、市場に出る前に保税蔵置場で行わなければなりません。
2:税金と関税の計算
750ml、アルコール度数12%の赤ワインを例にすると、酒税は1リットルあたり80円の計算で、1本あたり約60円が基本税額となります。これに加えて消費税が課されます。
関税については、オーストラリア・ニュージーランドは日本とのEPAにより、ワインの関税は原則無税となっています。この点は、EU諸国やアルゼンチン、南アフリカなどから輸入する場合に比べて大きな優位性となります。しかし、その適用には原産地証明書(FTA Certificate of Origin)の取得が必須となります。これを怠ると、予定外の関税が発生し、コスト計算が大きく狂うことがあります。過去には、原産地証明書の署名がわずかに違っていただけで無効とみなされ、数十万円の関税を支払わざるを得なかった事例がありました。これが輸入ビジネスにおける「落とし穴」の一つです。
3:最適な輸送方法の選択
オーストラリアやニュージーランドからの輸送は、海上輸送が一般的です。ヨーロッパからの輸送に比べて、航海日数は短く、特にニュージーランドは台風などの影響を受けにくいため、比較的安定した輸送が期待できます。ワインの品質を維持するためには、温度管理が可能なリーファーコンテナの利用が推奨されます。リーファーコンテナはドライコンテナの倍以上の海上運賃となることが多いため、コストと品質のバランスを考慮する必要があります。
少量や高額なワインのサンプル輸入には、短期間で到着する航空便が有効です。ただし、ワインは重量があるため、1本あたりの費用は海上輸送の数倍に跳ね上がります。過去には、輸送直前に燃油サーチャージが上昇し、輸送費が当初の概算より大幅に増加する事態もありました。輸送費の見積もりを取得する際、その有効期限にも十分注意が必要です。
4:円滑な通関手続きのための準備
輸入申告書類の作成、原産地証明書の添付、輸送保険の手配など、通関手続きには専門的な知識が求められます。些細なミスでも税関で差し戻され、納品が遅れることがあります。
ワインは食品扱いですから輸入には食品衛生法が適用され、ワイナリー発行の成分表や製造工程表が必要となります。オーストラリアやニュージーランドのワイナリーは、これらの書類が日本語ではなく英語であることがほとんどであるため、こちらで充分内容を理解しておく必要があります。書類は英語のままで構いませんが、内容を理解していないと税関や検疫からの質問に答えられず、改めてワイナリーに確認する必要があります。そんなことをしていると、通関に1週間以上要することも稀ではありません。リーファーコンテナの場合、CYでのデマレージは大変高額となるため、日本に入港後はスピード感が必要となります。そのため、本貨物をリーファーコンテナで輸入する前に、サンプルを空輸で輸入して実績を作っておくことが有効です。
5:オセアニアワインの魅力とパートナーシップ
オーストラリア・ニュージーランド産ワインの輸入は、EPAによる無税メリットを最大限に活かすことが重要です。両国のワインは、シラーズ(豪)やソーヴィニヨン・ブラン(NZ)といった世界的にも高く評価される品種を擁し、果実味豊かで力強いスタイルから、繊細でエレガントなスタイルまで、多様なテロワールを表現しています。特に近年、日本市場ではニュージーランド産のソーヴィニヨン・ブランが爽やかな味わいで人気を集めており、オーストラリア産のシラーズもその力強さからファンを増やしています。これによりコスト競争力が高まり、販売価格の自由度も増します。
しかし、このメリットを享受するためには、「原産地証明書の正確な取得」と「税関への正しい申告」が前提となります。最終的に、ワイン輸入は計画と手順の把握が成功の鍵となります。産地ごとの規制やEPAの扱い、輸送方法の違いを理解し、税関や酒税法に沿った手続きを行うことで、品質を損なわず、最小限のコストで安全に国内に届けることが可能となります。
こうした一連のプロセスを乗り越えてこそ、現地の文化や味わいを最大限に活かしたワイン体験を提供できるのです。私たちロジスティーダジャパンはオセアニア地域からの輸入も得意としており、貴社のワイン輸入ビジネス成功を、強力にサポートいたします。まずはお気軽にご相談ください。








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