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税金の立替という慣習

輸入する貨物については、その貨物を保税地域から引き取る時に(関税と)消費税が課税されます。消費税法では「輸入する貨物についての消費税の納税義務者は、その貨物を保税地域から引き取る者です。」と明記されています。(根拠法令等 消法5、28、47、50) 

この貨物を保税地域から引き取る者とは、輸入申告者のことです。したがって、輸入貨物を引き取る場合の納税義務者は、その通関業務を代行している通関業者ではなく、通関業務を委託した者となります。


しかし実際は業界の慣習として、通関業者やフォワーダーが税金の立替を無利子で行っている事が多く、資金繰りに苦慮している企業が大変多い。顧客ごとの取引条件によりますが、月末締め・翌月末払いという一般的な条件の場合、1~2か月の間にわたって税金の立て替えをすることになります。通関業者は立替金だけでも先に振り込んでもらうために、手数料分などと分けて請求書を発行することもよくありますが、一旦は立て替えるための余剰金を準備しなければならないことに変わりはありません。


国会でもしばしばこの慣例について議論され、解決についての対策を施してきましたが、通関業者による輸入者の関税等の立替払自体は、通関業者の営業判断に基づいて行われているとされ、基本的に通関業者と輸入者との間の民間の契約の問題であると考えている一方、輸入者が関税等を自ら支払うことが容易な環境を整備する必要があることも認識しているようではあります。財務省関税局も輸入者に企業間の力関係を利用した悪質な圧力に関しては指導をしているようです。


当然、通関業者側も対策はしています。取引実績がなく支払いに不安のある輸入者には先に見積もった立替金額の請求書を発行して入金の確認が取れてから通関をかけたり、輸入者自身のリアルタイム口座の開設や納期限延長制度(*1)の使用を条件にして頂いたり、色々な方法で関税消費税の立替金未収リスクを減らすよう努力しています。しかしながら通関業者も一企業ですので、顧客から「早く許可して欲しいのだからそちらで立て替えて下さい。他の通関業者さんは立て替えてくれますよ。」なんて言われたら断れません。通関業者の努力だけではままならない部分も多々あります。


そもそも何の契約も交わすことなく数万、数百万、数千万円の立替払いを行うなど、一般常識では考えられないことです。車のローンでも完済するまではローン会社の持ち物ですよね。立替税を払うまでは輸入貨物は通関業者の所有権利であるはずですが、そのような契約は一般的には存在しません。さらに税金の立替だけでなく運送料や上屋料の立替も当たり前の、まさに業界の悪しき慣習です。


前述の通り国会でも、自己の取引上の地位が優越していることを利用して、取引の相手方に対し、正常な商慣習に照らして不当に不利益を与える行為は、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和二十二年法律第五十四号)第二条第九項の不公正な取引方法に当たり、同法第十九条の規定に違反する、としています。しかし実際は、不公正な取引方法に該当するか否かは、輸入者が通関業者に対して優越的な地位にあるか、通関業者が関税等の立替払を行うことが当該通関業者にとって正常な商慣習に照らして不当に不利益を被ることとなるかなどについて、個別具体的な事例に即して判断すべきものであると考えられていて、その立証や判断は難しいのも事実です。


幸いロジスティーダジャパンのお取引先は経済状況も健全で、立替にもご理解のある企業が多く、過度な負担を強いられることは全くありません。荷主様の利益に供することであれば、最大限の協力を惜しみませんが、会社が潰れてしまっては元も子もありません。他の通関業者も、顧客にリアルタイム口座や包括延納への切り替えの交渉に力を入れており、ここ数年で立替比率は減ってきているようです。しかしあくまで通関業者と顧客の交渉で決めることですので、立替を止める代わりに一部の料金を値下げするというようなケースもあると聞きます。悪しき商慣習はなかなか変わらないということです。ただただ嘆くだけでなく、この悪しき慣習を打ち破ること、それもロジスティーダジャパンの使命だと思っています。

*1 あらかじめ税関長の承認を受けた特例輸入者または輸入通関の手続きを認定通関業者に委託した特例委託輸入者は貨物を引き取った後に関税と消費税を納付することができます。税関長に納期限の延長についての申請書を提出し、担保を提供すれば、担保の額の範囲内の消費税額について、最長3か月間の納期限の延長が認められます。



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