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原産地証明書と原産品申告書

EPA締結国からの輸出品を日本に輸入する場合、一定の要件を満たせばEPA税率が適用されます。従来のEPAでは輸出国の発給当局による第三者証明制度が採用されていました。


日本の場合もそうですが、主には輸出国の商工会議所に「原産地証明書」を申請して発行してもらい、船積書類とともに輸入者に送付し、輸入者が税関に提出することで特恵税率が適用されるものです。この商工会議所などが発行する原産地証明を第三者証明とよびますが、近年発効されたTPPや日EU EPAでは前述の第三者証明の代わりに自己申告制度を採用しています。すなわち「原産地証明書」は必要ないのです。原産地証明書の申請から発行までは多くの国が2週間ほど要する場合が多く、申請料や代行手数料などの費用的負担も小さくありません。しかし自己申告制度を活用することによって、時間と費用を抑えることが可能です。


しかし注意しなければならないのは、同じ国が複数のEPAの締結国である場合です。例えばベトナムを例に挙げてみます。ベトナムはTPP、RCEP、日ASEAN さらに日ベトナム EPAの対象国ですが、TPPは第三者証明を採用していませんが、日ASEANや日ベトナムは原産地証明書が必要です。RCEPはより複雑で締結国によって変化します。原産地証明書と原産品申告書のいずれが必要か、スパゲッティボウル状態のEPAから一番有利なEPAを導き出し、原産地証明書か原産品申告書のいずれを用いるのか明確にしておかなければなりません。


「原産品申告書」とは、貨物がEPA上の原産品であることを証明する書類です。輸入者、輸出者または生産者、さらに輸入者から依頼を受けた通関業者が作成出来ますが、輸出者または生産者は締約国に所在する者でなければなりません。当然ですが第三国の輸出者は原産品申告書を作成できません。なお、TPP の条文は、原産品申告書のことを「原産地証明書」と表記しているので混同に注意して下さい。


日本での輸入申告時には、原則として原産品申告書に加え当該貨物が「原産品であることを明らかにする書類」の提出が求められます。「原産品であることを明らかにする書類」とは「原産品申告明細書及び当該明細書に記載された説明内容を確認できる関係書類(契約書、価格表、総部品表、製造工程表等))となります。但し以下のような場合は、書類の提出を省略することができます。

(ア) 原産品申告書、原産品申告明細書及び関係書類の提出が省略できる場合                                                                       課税価格の総額が 20 万円以下の場合

(イ)原産品申告明細書及び関係書類の提出が省略できる場合(原産品申告書のみ要提出)                                                              a.文書による事前教示を取得しているときであって、輸入(納税)申告書の添付書類欄 又は事前教示欄に事前教示登録番号を記載している場合                                        b.締約国内で完全に得られ、又は生産される産品(例:牛肉等の一次産品)(以下「完全生産品」という。)であって、インボイス等の通関関係書類によって完全に得られた、又は生産されたことが確認できる場合           

※ 例えば、インボイス、パッキングリストその他の書類に記載された製造者名、国名、商標等の表示、原産地の表示(Made in XXXX や Product of XXXX 等)等を総合的に勘案し確認できる場合。提出を省略する場合には、輸入(納税)申告書の添付書類欄又は記事欄に「EPA WO」と記載する必要があります。


原産品申告書の作成者は、輸入された貨物が協定上の原産品であることに係る情報を保有していることが前提であり、かつ税関の求めに応じてその情報について説明することが必要になります。例えば、完全生産品に係る原産品申告書を作成する輸入者は、当該産品が、協定に定める完全生産品の基準を満たすことを示す情報を保有し、これについて税関の求めに応じて説明する必要があります。これは上記イ.(イ)の原産品申告明細書及び関係書類の提出を省略する場合においても同様です。


原産品申告明細書は、任意の様式を用いて、原則として日本語により作成します。様式見本を税関ホームページ(原産地規則ポータル)からダウンロードが可能です。

自己申告制度の下においては、予見可能性を向上させ、迅速な通関を確保する観点から、事前教示制度の利用が有効です。事前教示制度とは、輸入者等からの照会に基づき、輸入を予定している貨物の原産性について、税関が事前に審査し、その回答を文書により受けることができる制度です。本制度を利用し、原産品である旨の回答を得た場合には、輸入申告時に当該回答書の番号を輸入(納税)申告書に記載することにより、原産品であることを明らかにする書類の提出を省略することができます。また、当該回答書の内容は、発出後 3年間、法令等の改正により取扱いが変わった場合等を除き、輸入申告時の審査の際に尊重されます。


年々締結国が増えるEPAやFTA、ますます複雑で分かり難くなっています。ロジスティーダのスタッフも日夜勉強を重ね、EPAビジネス実務検定を受験したりしています。実務の経験だけではなく、根拠となる知識は吸収を続けないと自らが陳腐化してしまいます。どんな資格でもそうですが、ロジスティーダジャパン社員全員が各種制度のアップデートの重要性を認識しています。





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