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植物防疫法について

海外から食品や化粧品を輸入する際に、食品衛生法や薬機法以外に注意しなければならない法令があります。その一つに植物防疫法があります。「植防」と略されることも多いのですが、対象物は観葉植物など植物そのものだけでなく、野菜や果物、豆類などの食品、切り花や木材、昆虫や微生物など広範囲にわたります。


植物防疫法(以下食防)は、国内の植物に有害な動植物を駆除するとともにそのまん延を防止し、農業生産の安全及び助長を図ることを目的とするものです(同法第1条)。植物防疫法により国際植物検疫(輸入制限、輸入禁止、輸出検査)、国内植物検疫、緊急防除、指定有害動植物の防除、都道府県の防疫などを規定しています。


一方動物検疫(以下動検)は家畜伝染病予防法、狂犬病予防法、感染症法に基づき、動物の病気の侵入を防止するため、世界各国で行われている検疫制度です。日本では、牛、豚、やぎ、ひつじ、馬、鶏、うずら、きじ、だちょう、ほろほろ鳥、七面鳥、あひる・がちょうなどのかも目の鳥類、うさぎ、みつばちなどの動物と、それらの動物から作られる肉製品などの畜産物を対象に輸出入検査を行っています。一般的に人や食品の「検疫」は厚生労働省が管轄するのに対し、「植防」や「動検」は農林水産省の管轄となります。



輸入植物防疫の対象

前述の通り、苗、穂木、球根、種子などの栽培用植物および野菜、果実、切り花、木材、穀類、豆類等の消費用植物の他、植物に有害な生きた昆虫・微生物など広範囲にわたります。一方、製材、製茶など高度に加工された植物、植物の病害虫でない昆虫・微生物、死滅した昆虫標本等は対象外です。大まかに言えば、生のままに輸入すれば対象、加工されていれば対象外となります。例えば、コーヒー豆やカカオ豆を例に挙げます。コーヒー豆やカカオ豆を生のまま(生豆)輸入すれば対象、乾燥脱水や焙煎されているものは対象外となるわけです。化粧品ですと、オーガニック系石鹸などの生のハーブが練りこまれている場合も多いですが、こちらは対象となります。要は病害虫が死滅するような加工が施されているか否かが判断基準となります。そうは言っても加工方法には様々な方法があります。具体的には次の加工が施されていれば対象外となります。


<乾燥、圧縮、細断、破砕、粉砕、凍結など>

対象外植物の例

麦芽(モルト)、押し麦、挽き割り豆などの穀類や豆類を加工したもの(肥飼料用途のものを除く。)、コーヒー生豆、タバコの葉などの嗜好品、粉トウガラシ、サンショウなどの香辛料、切り干し大根、ゼンマイなどの乾燥野菜、薬用ニンジン、ハスの実、ダイウイキョウ(八角)などの薬用植物、ヒマワリ、カボチャなどの食用種子、ピスタチオなどのナッツ類、さく葉標本、アマ、綿実などの油料原料、PKS(Palm Kernel Shell(パームヤシ殻))、木質ペレットなどのバイオマス燃料、少量の牧草や飼料植物(イネワラ、ムギワラ等を除く。)などの商品サンプル・分析用サンプル、凍結された植物(クルミ核子(殻付きクルミ)を除く。)など (植物防疫所HPより) 輸入植物検疫:植物防疫所 (maff.go.jp) 



輸入が禁止されているもの

日本に侵入した場合、農作物などに大きな被害を及ぼす危険性が高く、かつ輸入時の検査では発見が困難な病害虫の寄主植物を対象としています。また、多くの病害虫が潜伏している可能性が高い土や植物に有害な生きた病害虫そのものも輸入が禁止されています。植物の病害虫は国や地域によって発生程度が異なりますので、同じ植物であっても輸入禁止となる国・地域、輸入禁止とはならない国・地域があります。 http://www.pps.go.jp/rgltsrch/


禁止地域および植物の詳細は同法施行規則第9条およびの別表2、有害動物又は植物については同法施行規則第5条の2および別表1-1に、栽培地検査を要する地域、植物および検疫有害動植物については、同法施行規則5条の4および別表1-2に定められています。 輸入を禁止しているものであっても試験研究や展示などや犯罪捜査のための証拠物として使用する場合は、農林水産大臣の許可を得て輸入が認められる場合があります。



輸入検査方法

植物検疫の対象となるものを輸入した者は、遅滞なくその旨を植物防疫所に届け出て植物防疫官の検査を受けなければなりません。輸入された植物の検査は、輸出国の政府機関が発行した検査証明書(植物検疫証明書、Phytosanitary Certificate)が添付されているかどうか、輸入禁止品であるかどうか、検疫有害動植物があるかどうかについて行います。植物の名前は通称などではなく、「学術名」が必要となります。輸入禁止品に該当せず、植物検疫の対象となる病害虫の付着がなければ合格となり輸入することができます。病害虫が発見された場合は、消毒、廃棄または返送の措置が命じられます。消毒が命じられた場合は、消毒措置後に輸入することができます。なお、検疫有害動植物があるかどうかを判定するために日本国内で隔離栽培を実施してその栽培地で検査を行う植物もあります。



消毒方法

消毒の方法ですが、発見された病害虫や対象物の種類によって様々な方法がありますが、殆どの場合「燻蒸」の方法が取られます。「燻蒸」といっても薪を燃やして燻すわけではなく、燻蒸剤を気化して対象物から病害虫を除去します。燻蒸剤にはリン化アルミニウムや青酸ガスであるシアン化水素などが用いられます。以前は臭化メチルが用いられていましたが、オゾン層を破壊するおそれがあるとして、モントリオール議定書により製造と使用が制限されているため最近では他の燻蒸剤に比較して減ってきているようです。燻蒸は有資格者によって密閉した専用の建屋で無人の状態で行われます。燻蒸終了後は人が入る前に十分に換気する必要があるため時間も要します。青酸ガスは非常に揮発性が高いため、対象物に残留することはありません。そのため青酸ガスくん蒸は果物などに広く用いられます。こういった植物のくん蒸を実施する際は、植物に差し障りがない程度で行い、期待されるだけの殺虫の作用があり、人体に悪影響を及ぼさないことを確認する必要があります。このため、くん蒸を行う時間や用いられる薬の量が規定されています。バナナ、パイナップル、マンゴー、アボガドなどお馴染みの果物も病害虫の検出率が高いため、燻蒸されているものが少なくありません。例えば台湾産のパイナップルの場合、約3割の確率で病害虫が検出されるようです。燻蒸は薬剤によって病害虫を除去するわけですから、どうしても商品価値が下がります。費用ですが、物量や燻蒸場にもよりますが、40f一本分で10万円から20万円程度掛かるようです。商品価値が低くなる可能性、燻蒸費用をよく考慮して輸入する必要があります。



検査手続き

植物検疫検査手続きは、NACCS(輸出入・港湾関連情報処理システム)の植物検疫関連業務から、輸出入植物検査の電子申請を行います。



輸出検疫

日本から植物(およびその容器包装を含む)を輸出する場合で、輸入国が日本国政府機関の検査証明書を必要としている場合、輸出植物(および容器包装)が当該輸入国の要求に適合している旨の植物検疫所の検査に合格しなければ輸出できません。





国際植物防疫条約

日本は、有害動植物の国際的な蔓延防止等における国際協力のための枠組みである国際植物防疫条約(International Plant Protection Convention: IPPC)に加盟しています(2017年2月現在183の国と地域が加盟)。植物検疫措置に関する国際基準(ISPM)の策定、技術協力の実施、病害虫に関する情報交換等を行っています。木材梱包材の検疫措置もIPPCの国際基準を遵守しています。

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