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  • hiroyuki kira

国際郵便と外郵出張所

更新日:2023年12月14日

小口貨物の輸入をする場合、航空貨物やクーリエとの料金を比較して、EMSや小包郵便の利用を考える場合があると思います。30kgまでなら運賃も比較的安く、Door to Doorが基本の郵便を使って個人輸入や小口貨物の輸入を行った経験を持つ方も少なくないはずです。国際郵便の通関を行う「国際郵便交換局」は国内に6か所とさほど多くありません。そしてそれらには必ず税関の「外郵出張所」があり、貨物の検査などを行っています。

局名

税関出張所

所在地

取扱開始年

現在の主な取扱郵便物

東京国際郵便局

東京税関東京外郵出張所

東京都江東区

1968年

EMS(東日本)

川崎東郵便局

横浜税関川崎外郵出張所

神奈川県川崎市川崎区

2013年

航空小包(東日本)、航空通常、SAL、船便

中部国際郵便局

名古屋税関中部外郵出張所

愛知県常滑市

2006年

EMS・航空小包(中部)

大阪国際郵便局

大阪税関大阪外郵出張所

大阪府泉南市

1994年

EMS・航空小包(近畿、中国、四国)

新福岡郵便局

門司税関福岡外郵出張所

福岡県福岡市東区

2007年

EMS・航空小包(九州)

那覇中央郵便局

沖縄地区税関那覇外郵出張所

沖縄県那覇市

1972年

EMS・航空小包(沖縄県)

 

Door to Doorが基本ですから、何の問題もなければ黙っていても自宅や会社に届くこともありますが、書類の不備や確認事項がある場合は外郵出張所から「外国から到着した郵便物の税関手続のお知らせ」というハガキが届きます。

 

確認事項には下記のように多岐にわたります。

1.価格の確認   2.郵送料金の確認 3.商品説明 4.梱包数の確認 5.輸入申告のご案内 6.原産地虚偽・誤認表示 7.加工・修繕 8.再輸入免税 9.再輸出免税 10.ATAカルネ 11.関税割当 12.別送品 13.米の輸入 14.塩の輸入 15.食品衛生法 16.医薬品医療機器等法 17.医薬品医療機器等法(動物用) 18.大麻取締法 19.けしの種子・大麻の種子 20.麻薬及び向精神薬、医薬品覚醒剤原料 21.化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律 22.農薬取締法 23.毒物及び劇物取締法        24.輸入貿易管理令 25.銃砲・刀剣類 26.銃部品・付属品 27.クロスボウ(ボウガン) 28.美術刀剣類 29.ワシントン条約 30.外来生物法

 

私自身も輸入会社に勤務していた際、何度も「外国から到着した郵便物の税関手続のお知らせ」を受け取り商品説明や知財権利の説明、価格の妥当性などを説明するために直接東京外郵出張所などに出向いたことがあります。「これは安すぎるのでは?」「これは本物か?」などと確認を求められたこともあります。とはいっても全国に6か所しかないのですから、直接行かずとも電話やFAX、メールなどで対応することも可能です。しかし食品衛生法に掛かる検疫検査やサンプリングなどは実地に行かなければならない場合もあるので、注意が必要です。このような検査で予定外の出費を強いられる場合があるからです。

 

郵便局には通関士がおりますが、全ての貨物の通関を行うわけではありません。膨大な数の郵便物の通関を通常通り行っていては、いつまでも配達することが出来ません。そこで関税法関税法67条では「輸入郵便物の簡易手続き」を認めています。(輸出→関税法76条)輸入される郵便物が課税価格で20万円以下のものや寄贈品(無償郵便物)については、輸入通関の迅速性の観点から簡易手続きが行われ、輸入者は輸入申告をする必要がありません。かつては全ての郵便物が簡易手続きの対象でしたが、2009年2月16日以降は、課税価格が20万円を超える郵便物については、前述のとおり、寄贈物品である郵便物を除き輸入(輸出)申告が必要となっています。

 

郵便物の価格を過少申告して申告を免れることは出来ません。輸入貨物に関税が課される場合、その価格に応じて課税される従価税品などの課税標準となるべき金額を決定することを「関税評価」といいます。関税評価制度を定めた国際条約は、「1994年の関税及び貿易に関する一般協定第7条の実施に関する協定」であり、通称「WTO関税評価協定」と呼ばれています。日本の関税評価制度も、この評価協定に準拠し、国内法である「関税定率法」において規定がされています。要は「価格の正当性」が常に求められ、相場よりも著しく安い価格や、値引きがあっても関税評価が下がるわけではないので、申告価格には十分注意が必要です。

 

また、量や目的にもよりますが、食品衛生法や薬機法の対象物も、通常の貨物と同じ手続きを踏まなければ輸入出来ません。郵便だからと言って、成分表や製造工程表、検疫検査を免れることは出来ないわけです。

 

ロジスティーダジャパンではEMSなど郵便で輸入された貨物の通関や食品届を代行することも可能です。お困りの方はぜひご相談下さい。

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