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  • hiroyuki kira

進む中国各港のスマート化

日本では2024年問題による物流従事者の人材不足や、荷待ちなどの物流の停滞が問題になっています。物流センターや倉庫ではDX化が進められ、物流展などを見ればDX化のためのマテハンやソフトウェアが次々に開発されているのに目を見張る思いですが、港のスマート化はまだまだ他国の後塵を拝している状況です。

 

先日もWBSの特集として、中国の最先端技術を駆使した港のスマート化が国策として進められ、ほぼ無人でコンテナのハンドリングが行われている様を放映していましたが、まだマニュアルで操作される日本の港と比較にならないくらい整備されていることに愕然としました。

特集されていたのは深圳港で、年間約3000万個のコンテナを扱う世界第4位の港です。ちなみに1980年のコンテナ取扱いランキングに中国の港は全く入っていません(香港は3位)でしたが、2022年には1位の上海を筆頭に7港(香港含む)が10位までにランキングされています。一方、日本の港は1980年に神戸港が唯一4位に顔を覗かせていましたが、2022年には東京、川崎、横浜を合わせてようやく22位に入るという衰退ぶりです。

 

中国では、2017年に政府が10年計画として港のスマート化を進める政策を発表して以来、上海や天津など中国国内18港のスマート化が進められてきました。2024年の中国からの輸出量は昨対で5割も増加しており、港がスマート化していなければ増加分を到底さばくことが出来なかったはずです。逆を言えば港のスマート化によりコンテナの取扱量が劇的に増えたと言うことです。世界的に海運市場は船舶の超大型化が進み、港の作業効率の向上が喫緊の課題ですが、日本では相変わらず人力による作業が多いために、荷待ちが深刻化しており、コンテナの回転率が低いために日本向けの空コンテナがなかなか手配出来ない状況が続いています。

 

深圳港は1990年に開港し、7年前からスマート化が進められており、現在は5G回線とGPSを駆使して、スタッフ2人だけでガントリークレーン26基を管理し、コンテナを船から引き上げる部分のみを人が操作し、その後の移動とトラックへの積み込みは全て自動で行っているだけでなく、港内でコンテナ運搬を担うトレーラーのおよそ1/5にあたる38台が自動運転で運用されているそうです。このように作業の自動化が進むことで、労働環境が著しく改善し、3Kのイメージも薄れつつあるのかも知れません。

 

税関手続きやコンテナの搬出手続きなどのソフト面でもスマート化が進められています。CYでは、ドライバーが書類手続きを行うことから、荷待ちに約2時間を要していましたが、今はアプリによるオンライン手続きにより10分程度で搬出入作業を終えることが出来るようになり、結果多くても1日2回の運送が5〜6回まで可能となり、作業効率が上がり利益が増えた運送業者も多いそうです。また、CY内のコンテナの位置情報ですが、以前はコンテナを移動する度にアドレスを手入力していましたが、現在はすべてのコンテナの位置情報を自動で取得しているそうです。

 

スマート化の流れは中国だけではなく、世界にも波及しています。以前まで、中国の深圳〜シンガポール・マレーシアへの配送には約20日間要していましたが、今はその半分ほどに短縮出来ているそうです。中国港のスマート化は海運全体の効率化とスピードアップに貢献しているのです。

 

中国は日本同様少子高齢化が進み、今後の労働力不足が懸念されています。好きな時に働いて稼ぐことができるフードデリバリーやライドシェアドライバーが人気で、一方物流業界につきまとう3Kのイメージの仕事は人気がありません。しかしスマート化により港湾作業効率が4-5割改善したことから、人手不足の対策だけでなく、雇用の確保にも有効だと考えられます。

 

スマート港の効果は運用効率だけに留まりません。CO2排出量の削減にも大きな成果を見せています。天津港第2コンテナふ頭では世界初の「スマート・ゼロカーボン港湾」として、コンテナの輸送から船積みまでの作業の全面無人化が実現しており、CO2排出削減量も9割以上と劇的な成果を見せています。というのも天津港では、風力・太陽光発電設備によって発電される電力は年間9,000万キロワット時に達し、消費電力の100%をクリーン電力で賄っているからです。正直中国に対しては公害大国というイメージがありましたが、ゼロカーボン化は日本より進んでいるのかも知れません。

 

こういったスマート化は、中国とシンガポールが先行、ヨーロッパやアメリカ、日本では遅れを取っています。国土交通省が平成30年(2018年)7月に港湾の中長期政策「PORT 2030」https://www.mlit.go.jp/common/001247412.pdf (港湾の中長期政策「PORT 2030」~ロードマップ~平成30年7月国土交通省港湾局)を公表しましたが、現在はどのように進んでいるのでしょうか。いずれにしても日本の港のスマート化も待ったなしの状況であることに間違いはありません。このアップデートは別の機会に行います。

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