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外国人旅行者等の免税購入

hiroyuki kira

最近ではなかなか難しくなっていますが、我々日本人が海外旅行する際の楽しみの一つとして免税品のお買い物があります。「デューティーフリー」という言葉でお馴染みですが、同様に、免税でのお買い物を楽しみにしている「インバウンド」観光客も多いと思います。この免税ですが、大きくDUTY FREEとTAX FREEに分けられます。日本の街中でもこれらの看板を掲げているお店を見た方も多いと思います。しばしば混同されることもあるDUTY FREEとTAX FREE、どのような違いがあるのでしょうか。

 

「DUTY FREE」は関税法基本通達42-15、もしくは42-16に定める「保税蔵置場」での販売に限られます。街中でもし「DUTY FREE」の看板を掲げているお店があれば、それは殆ど「TAX FREE」の誤りと言えます。街中(市中)で「DUTY FREE」での販売が許可されているのは2025年1月現在、沖縄のDFS沖縄、東京・銀座のJapan Duty Free GINZAとロッテ免税店の3店舗に限られます。(以前は新宿や福岡にもありました) 実はこの市中の「DUTY FREE」の中にも細かい違いがあるのですが、これはまた別の機会に触れてみたいと思います。

 

さて「DUTY FREE」の「DUTY」とは貿易用語でいう関税のことですが、「一般的には」関税だけではなく、消費税・たばこ税・酒税などの税金も含みます。対象者は「出国者」という制約があります。(沖縄は「出域者」も対象) 購入した商品の受け渡しは、出国手続き後(沖縄は出域手続き後含む)、空港や港などの免税品引渡しカウンターで行われることになりますので、購入後に日本国内の自宅へ持ち帰るといった利用はできません。(沖縄は一定の条件を満たせば可能) なお前述の関税法基本通達42-16では「入国者」への保税販売(免税販売)を認めています。今回は詳しい説明は割愛しますが、イメージとしては「海外で免税品を購入して日本国内に持ち込む」といった感じです。こちらは日本人、外国人の両方が対象ですが、合計額が20万円を超える場合には、20万円以内におさまる品物が免税になり、その残りの品物に課税されます。税関は、旅行者が有利になるように、免税となる品目を選択の上、課税します。1個で20万円を超える品物、例えば、25万円のバッグは25万円の全額について課税されます。(1個の品物を2つに分けて申告することは出来ません) 1品目ごとの海外市価の合計額が1万円以下のものは、原則として免税となります。(例えば、1箱1,000円のチョコレート9箱や1本5,000円のネクタイ2本は免税になります。)

 

一方で「TAX FREE」とは消費税免税のことです。根拠法令は消費税法(消費税法第8条)で、正式名称は「輸出物品販売場における輸出物品の譲渡に係る免税」です。お店は通常街中にあります。DUTY FREEとの大きな違いは、免除される税金が消費税に限られることです。さらに、対象者も「非居住者」に限られます。原則として、外国人の方は非居住者にあたります。(外国の旅券と帰路のチケットを有するもの)対象物品は、「一般物品・消耗品」であることが定められています。「通常生活の用に供する物品」ともいわれます。事業用や販売用として購入することが明らかな場合は、非居住者が購入するものであっても免税の対象外になります。購入金額の制限があり(一般物品の場合は、同一の免税購入対象者に対する同一の販売場における1日の販売価額(税抜)の合計額が5,000円以上であること。消耗品の場合は、同一の免税購入対象者に対する同一の販売場における1日の販売価額(税抜)の合計額が5,000円以上50万円以下であること)、さらに消耗品については「国内で消費されないように指定された方法で包装がされている」ことも必要とされています。なお、一般物品と消耗品のそれぞれの販売価額(税抜)が5,000円未満であったとしても、その合計額が5,000円以上であれば、一般物品を消耗品と同様の指定された方法により包装することで、免税販売することができます。この場合、その一般物品は消耗品として取り扱うこととなります。細かい話ですが、金または白金の地金は免税対象物品からは除かれます。購入した物品が国外へ持ち出されることが前提の制度ですので、国内で消費される物品であれば、当然消費税が課されます。購入手続きについては、お店が非居住者からパスポートの提示を受け、一定の書類を作成するなどの流れが定められています。現在は事前に購入者が「Visit Japan Web」(https://services.digital.go.jp/visit-japan-web/) に必要情報を登録しておくことで、従来より手続きが早く行うことが可能となっています。しかしどのお店でも消費税が免除されるわけではありません。消費税の免除の適用を受けるためには、事業者側(店側)があらかじめ事業者の納税地を所轄する税務署に「輸出物品販売場許可申請書」を提出して輸出物品販売場の許可を受け、併せて「輸出物品販売場における購入記録情報の提供方法等の届出書」を提出することが必要です。あまり外国人旅行者が来店しない郊外の個人商店では、この許可を受けていない場合が多いはずです。

 

また、免税購入対象者が国際第二種貨物利用運送事業者(代理人含む)と購入物品の輸出に係る運送契約を締結し、かつ、販売場にその運送契約に係る契約書の写しの提出および旅券等の提示を行い、その物品をその場でその運送業に引き渡して海外へ直送する場合には、前述の指定された方法による包装は不要です。この場合、国際第二種貨物利用運送事業者は運送契約書、事業者は運送契約書の写しを契約した日または免税対象物品を免税で販売した日の属する課税期間の末日の翌日から2か月を経過した日から7年間保存する必要があります。

 

現在日本の消費税は10%(免税対象)となっています。TAX FREEでも1割お得に買えるわけですから、インバウンド観光客はこぞってこの制度を利用するわけですね。しかしそれによって税収が減り、インフレとなり、日本人の生活に悪影響を与えるようであれば本末転倒です。この制度、ここらで見直すことも必要なのかも知れません。

 

機会があれば「DUTY FREE」ついても掘り下げてみたいと思います。



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