航空貨物のセキュリティサーチャージについて
- hiroyuki kira
- 4月5日
- 読了時間: 5分
航空貨物の見積もり書や請求書に「Security Surcharge(セキュリティサーチャージ)」が加算されていることに気づく方も多いのではないでしょうか。「セキュリティサーチャージ」とは、貨物の保安検査にかかる費用であることは容易に想像できますが、具体的にはどのような検査が行われ、どのような基準で料金が決定されるのでしょうか。政情不安や各国の紛争などが深刻化する昨今、保安検査は日増しにその重要性を高めています。日本における航空貨物のセキュリティサーチャージについて説明します。
1. 検査方法
日本における航空貨物のセキュリティサーチャージは、貨物の検査方法に基づいて算出されることが一般的です。以下の主な検査方法があります。
(1) X線検査
内容: 貨物をX線でスキャンして、内部の危険物や異常を検出します。爆発物や危険物が含まれていないか、または規制物が不正に運ばれていないかを確認します。
利用シーン: 荷物の種類やセキュリティリスクに応じて、航空会社や空港が選定した貨物に対して行われます。
(2) 手動検査
内容: X線検査で確認できない異常が見つかった場合、担当者が貨物を開封して目視で検査を行います。特に高リスク貨物や不審物、大型の貨物に対して詳細な検査が行われます。
利用シーン: 高リスクの貨物や疑わしい貨物に対して行われます。
(3) ドッグスクリーニング
内容: 訓練された犬による爆発物の検査です。空港の保安検査でも使用される方法で、爆発物や危険物を迅速に発見することができます。
利用シーン: 特に爆発物が疑われる貨物や乗客の荷物の検査時に使用されます。
(4) ホログラムやタグの確認
内容: 貨物に付けられたホログラムやセキュリティタグの確認を通じて、不正な貨物や偽装品を検出します。貨物の真正性を確保する目的で行われます。
利用シーン: 貨物の内容が不明確または疑わしい場合に行われます。
2. 料金の算出方法
セキュリティサーチャージは以下の要素を基に算出されます。
(1) 貨物の種類とリスク評価
説明: 貨物の内容やリスクに応じて、セキュリティサーチャージの金額は変動します。例えば、危険物を含む貨物やリスクの高い地域への輸送の場合、検査に掛かる手間やリスクが高くなるため、追加料金が発生します。
例: 高リスク貨物(可燃物や化学物質を含む場合)には、セキュリティサーチャージが増加することがあります。
(2) 貨物の重量・体積
説明: セキュリティサーチャージは、貨物の重量や体積(容積)に基づいて課せられることが多いです。多くの航空会社や空港では、貨物の重量または体積に一定のレートを掛けて、最終的なサーチャージを計算します。
例: 「10kg以下の貨物に対して固定料金、10kgを超える場合は重量に応じた追加料金」といった形式です。
(3) 運送会社の料金体系
説明: 各航空会社や物流業者によって、セキュリティサーチャージの具体的な金額や算出方法は異なります。一般的には、航空貨物の運送契約に基づき、運送会社が定めた料金が適用されます。
例: 一部の航空会社では、料金体系に応じて異なるセキュリティサーチャージが設定されていることがあります。
(4) 輸送先と規制
説明: 輸送先の国や地域によって求められるセキュリティレベルが異なり、そのためセキュリティサーチャージも異なります。特に厳格なセキュリティ要件が求められる地域への輸送には、追加料金が発生することがあります。
3. 航空会社別のセキュリティサーチャージ
重量による課金: 通常、1kgあたり数十円〜数百円程度。例えば、10kgの貨物の場合、約200円〜500円程度の追加料金が発生することがあります。
固定料金: 小型の貨物や特定の貨物に対して、数百円〜数千円の固定料金が適用されることがあります。
以下は、主な航空会社のセキュリティサーチャージの一例です(料金は参考値であり、時期や地域、貨物内容によって異なります):
日本航空(JAL)
料金例: 1kgあたり100円〜300円程度。
追加料金: 高リスク地域への配送の場合、追加料金が発生することがあります。
全日空(ANA)
料金例: 1kgあたり約200円〜400円程度。
重量や体積に基づく料金: 体積重量を考慮して計算されることがあります。
エミレーツ航空(Emirates SkyCargo)
料金例: 1kgあたり150円〜500円程度。
地域による変動: 中東やアフリカ向けの貨物には高いセキュリティサーチャージが適用されることがあります。
キャセイパシフィック航空(Cathay Pacific Cargo)
料金例: 1kgあたり150円〜400円程度。
ルフトハンザ航空(Lufthansa Cargo)
料金例: 1kgあたり200円〜350円程度。
シンガポール航空(Singapore Airlines Cargo)
料金例: 1kgあたり200円〜350円程度。
デルタ航空(Delta Air Lines)
料金例: 1kgあたり100円〜300円程度。
セキュリティサーチャージは、航空会社や空港、貨物の種類、輸送先に応じて異なります。日本における航空貨物のセキュリティサーチャージは、貨物の検査方法やリスク、重量、運送会社のポリシーに基づいて計算されます。セキュリティ強化のために課される費用であり、各航空会社や空港が独自の料金体系を設けているため、具体的な料金については必ず事前に確認することが重要です。
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