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コメの輸入

  • hiroyuki kira
  • 6月21日
  • 読了時間: 3分

連日、テレビや新聞がコメの価格や小泉農水大臣の発言を取り上げていて、正直ちょっと食傷気味になっている人も多いのではないでしょうか。実際、スーパーでコメの棚を覗いてみると、その価格にまたため息が出てしまいます。特に沖縄では、値上がりが少し遅れていたぶん、今は逆に高止まりしていて、ブランド米が5,000円を超えることも珍しくありません。

 

そうなると、「いっそ自分で輸入できないものか」と思ってしまうのも無理はないかもしれません。でも実は、コメの輸入は想像以上にハードルが高いのです。国際協定に基づいた制度の存在や、農産物特有の検疫や表示義務など、複雑なルールが絡み合っていて、一朝一夕でできるようなことではありません。

 

日本のコメ輸入は、WTO協定の枠組みのひとつ、「ミニマム・アクセス制度」によって管理されています。これは、日本が毎年一定量のコメを輸入することを義務づけられている制度で、その範囲内でのみ輸入が認められています。

 

輸入の方法は大きく2つに分かれていて、ひとつは政府が一括で輸入する方式。もうひとつが、民間事業者が入札に参加して輸入する「SBS方式(Simultaneous Buy and Sell)」と呼ばれるものです。企業が主体的に関われるのは後者に限られており、輸入枠の確保から流通ルートの構築まで、すべて自分たちで進める必要があります。

 

SBS方式で輸入を行うには、まず農林水産省が出す入札情報をチェックし、指定された条件をクリアしなければなりません。無事に落札できたとしても、そこからが本番です。輸出国との契約交渉、出荷スケジュールの調整、輸送や通関の手続きなど、実務は山ほどあります。

 

中でも重要なのが検疫です。コメは植物防疫法の対象作物なので、輸出国政府が発行する「植物検疫証明書」がなければ、日本に持ち込むことすらできません。到着後も植物防疫官による現物検査が行われ、もし害虫などが見つかれば、燻蒸処理や最悪の場合は廃棄や積み戻しといった対応を迫られることになります。

 

つまり、制度上の枠があるとはいえ、実際の輸入には農産品ならではのリスクや手間がつきまといます。輸出国での害虫対策、輸送時の温度や湿度の管理、日本到着後の通関体制の整備――そのどれもが欠かせない要素です。「仕入れて売る」というだけの話ではないのですね。

 

さらに忘れてはならないのは関税です。MAを超えるコメには1kgあたり341円+輸入消費税が課せられます。これは輸入価格ベースで計算すると、食品の相対価格次第で200~400%台に相当すると見積もられています。

 

ようやくコメが日本に届いても、販売にはまた別のハードルがあります。食品表示法に基づき、品種名や原産国、精米年月日、内容量などを正確に表示しなければなりません。不備があれば、消費者庁からの是正指導や処分の対象になることもあります。さらに、一定量以上の取扱いをする場合は「米トレーサビリティ法」によって、農水省への届出や、流通経路の記録・保管も義務づけられています。

 

もし輸入した米を自社で精米したり再包装したりするのであれば、食品衛生法に基づく営業許可も必要になります。当然ながら、衛生管理や設備の整備も求められます。

 

こうした現実を考えると、コメの輸入は簡単なビジネスではありません。制度の理解、検疫への対応、輸送と保存、表示義務の順守など、どれが欠けても成り立たない仕事です。初めて取り組むなら、通関や物流の専門業者と組むことが前提になってくるでしょう。

 

むしろ、海外からコメを取り寄せるよりも、日本国内でコメづくりに関わるという選択肢のほうが、今後は現実的かもしれません。それだけ、私たちにとってコメという存在は深く、そして大きな意味を持っています。値段が高い、品切れだと騒ぐ前に、私たち一人ひとりに何ができるのか――そんなことを考える機会にしてもいいのかもしれませんね。



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