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モズク(フコイダン)飲料のベトナム輸出について

  • hiroyuki kira
  • 8月7日
  • 読了時間: 5分

沖縄産モズクから抽出されるフコイダンは、免疫調整作用や抗酸化性が注目され、健康食品市場で高い評価を受けています。近年では、これを配合した飲料製品がベトナム市場でも関心を集めており、輸出の機会が広がっています。しかし、製品の性質や訴求内容によってHSコードの分類が分かれ、通関や税制に影響を及ぼすため、慎重な対応が求められます。

 

製品分類とHSコードの分かれ目

モズク飲料をベトナムに輸出する際、まず重要なのは「主たる用途」が何かを明確にすることです。一般的な清涼飲料水として販売される場合は、HSコード2202.99.90が適用されます。一方、フコイダンの機能性を強調し、健康補助食品として訴求する場合は、2106.90.99に分類される可能性が高くなります。さらに、飲料ではなく原料としての性質が強い場合、例えばモズク抽出物を現地での加工用にそのまま輸出するケースでは、1302.19.90(植物抽出物)に分類されることもあります。この分類は、関税率やVAT(付加価値税)に直結するため、製品ラベルや成分表示、販売形態を踏まえた事前の分類判断が不可欠です。

 

HSコードの違いによるメリット・デメリット

| HSコード | メリット | デメリット |

| 1302.19.90(植物抽出物) | EPA適用で関税0%、健康食品としての訴求が可能 | 飲料としての認知が弱く、食品登録が必要になる可能性あり |

| 2106.90.99(健康補助食品) | 健康訴求が明確、機能性表示がしやすい | 関税率がやや高め(EPA適用でも5〜10%)、食品登録が厳格 |

| 2202.99.90(清涼飲料水) | 飲料としての流通が容易、一般消費者向けに展開しやすい | EPA適用でも関税が残る場合あり、糖分・香料の有無で細分類が複雑化 |

 

分類によって、関税率・VAT・許認可の要件・販売戦略が大きく変わるため、輸出前に慎重な判断が必要です。

 

EPA適用とForm JVの取得

日本とベトナムは経済連携協定(JVEPA)を締結しており、対象品目には関税優遇措置が適用されます。特に1302.19.90に分類されるフコイダン抽出物は、Form JV(特定原産地証明書)を提出することで関税率が0%になります。

Form JVの取得は、那覇商工会議所が窓口となっており、初回は利用者登録が必要です。原材料や製造工程の資料を提出した上で、英語で作成したWord形式の申請書を偽造防止用紙に印刷して提出します。申請に必要な書類は、商業インボイス、原材料表、製造工程表などで、すべて日本産であることを証明する必要があります。

 

輸出者側に有利なINCO-TERMSの選定

国際取引では、INCO-TERMSを適切に選定することで、輸出者側のリスクとコストを最適化できます。沖縄からベトナムへの輸出において、以下の条件が特に有利です。

- FOB(Free On Board):沖縄港で本船に積み込むまでが売主の責任。EPA適用にも対応しやすく、通関処理も売主主導で進められる。

- FCA(Free Carrier):那覇空港など指定地点で運送人に引き渡すまでが売主の責任。航空便利用時に柔軟な対応が可能。

- CIF(Cost, Insurance, and Freight)/CIP(Carriage and Insurance Paid to):売主が輸送費と保険料を負担することで、輸送手配を一括管理できます。CIFは海上輸送専用であり、危険負担はFOBと同様に本船に積載された時点で買主に移ります。売主は輸入港までの海上運賃と最低限の保険(ICC-Cなど)を負担しますが、損害リスクは早期に買主へ移るため、費用とリスクが分離された構造です。一方、CIPはすべての輸送手段(海上・航空・陸送)に対応しており、危険負担は運送人に貨物を引き渡した時点で買主に移ります。売主は指定仕向地までの運賃と、インコタームズ2020に基づきICC-A(全リスク)保険の付保が義務となっています。どちらも価格提示の透明性が高く、買主にとって安心感がありますが、保険の補償範囲や輸送手段の適合性を踏まえた選定が重要です。

- EXW(Ex Works)は相手次第:一見すると売主の負担が最も軽い条件ですが、輸出通関を買主が行うことになるため、売主が「輸出者」としての立場を持たなくなり、Form JVの申請資格を失います。EPAの原産地証明は輸出者が申請する必要があるため、EXWでは関税優遇の適用が事実上不可能になります。

輸出者が通関とEPA申請を主導できる条件を選ぶことで、コストとリスクの管理がしやすくなります。

 

輸送手段と容積重量の注意点

30kg程度のモズク飲料を輸出する場合、輸送手段としては航空便が最も適しています。高付加価値品であり、品質保持や納期の面でもメリットが大きいためです。ただし、航空便では「容積重量」が課金対象となるため、梱包設計には注意が必要です。

容積重量は、縦×横×高さ(cm)÷6,000で算出され、実重量と比較して大きい方が課金対象となります。例えば、50×40×30cmの荷物は容積重量10kgとなり、実重量がそれ以下であっても10kg分の料金が発生します。梱包の最適化によって輸送コストを抑えることが可能です。

 

ベトナム側の通関・許認可制度

ベトナムでは、健康食品や機能性飲料の輸入に際して、食品登録制度(MOHまたはVFA)への事前申請が必要になる場合があります。特に健康訴求が強い製品は、成分表やラベル表示の審査が行われるため、輸入者側での準備が重要です。

また、輸入者がベトナム企業である場合は問題ありませんが、外国企業が直接輸入・流通を行う場合は、追加のライセンス登録が必要になることがあります。衛生証明書(Health Certificate)や施設登録が求められるケースもあるため、現地通関業者との連携が成功の鍵となります。

 

LogisTida Japanでは、沖縄発の高付加価値製品を海外市場に届けるための物流・通関支援を行っています。モズク飲料のような機能性製品は、EPAの活用による関税ゼロ化、容積重量の最適化、現地規制への対応など、細やかな実務対応が求められます。

輸出を検討される企業様には、まずForm JVの取得と輸送モードの選定から始め、ベトナム側の食品登録制度や通関条件を事前に確認することを推奨します。INCO-TERMSの選定では、FOBまたはFCAを基本とし、輸出者側の責任とEPA適用のバランスを取ることが重要です。

また、LogisTida Japanは那覇商工会議所や沖縄県産業振興公社の「専門家派遣登録」を行っております。細かいご相談は弊社へ直接ご連絡いただいても構いませんが、前述の2機関を通すことにより、最小限のご負担で最大限のサポートを行うことが可能となります。ぜひご相談くださいませ。

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