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  • hiroyukikira

海上保険のススメ

保険。今でこそ自動車保険や生命保険、地震保険や介護保険など様々な種類がありますが、

「保険」の始まりは海上保険からであると言っても過言ではありません。

歴史ある損害保険会社の社名に「海上」の名前がついているのも、その起こりを示しています。


海上保険にも様々な種類があります。代表的ものは、貨物保険と船舶保険です。日本は海上貨物保険では世界第1位、船舶保険では第2位のマーケットを誇ります。さすがに島国の貿易大国ですね。


もちろん歴史上「海上保険」から始まっているから「海上~」と呼ぶのであって、航空貨物に付する場合も海上保険と呼びますが、国際輸送貨物の比率が金額ベースで75%以上(重量ベースで99%以上)であることから、文字通り海上保険の主な対象は「海上」です。


ところで沖縄で輸出入に携わっていると、県内の企業、特に輸送頻度の低い荷主様は海上保険を掛けていないことに驚きます。もちろん輸送の頻度が増えれば増えるほど事故の確率は高まるので、コンスタントに輸出入を行っている荷主様は包括で付保している場合が多いと思います。しかし頻度が低くても事故が起きるときは起きるのです。



昨年日本の船社所有のエヴァーギヴンがスエズ運河で座礁して大々的に報道されましたが、スエズ運河庁が船主に莫大な賠償金を請求した中で、船体を軽くするために投棄されたコンテナの保障についての報道はあまりされませんでした。いったいどうなったのでしょう。

投げ捨てられた貨物の荷主は「運が悪かった」と嘆き、生き残った貨物の荷主は「ラッキー!」と喜んでいる、わけではありません。


1877年に決議された「ヨーク・アントワープ規則」という共同海損に関する取り決めを定めた国際統一規則が事実上、共同海損を処理する上で現在も世界的な準拠法となっています。(B/Lの裏面の約款に記載されていますね)


「共同海損」は、国際上では”General Average”の頭文字をとってG.A.と呼ばれます。

共同海損は簡単にいうと、損害を利害関係者全員で按分し、損害を公平に分担するということです。従って自分の貨物が無事でも、他社の貨物が損害を被っていれば、全員で損害を負担しましょう、というものことです。投棄されたコンテナの犠牲の上で残った貨物があるのですから、公平と言えば公平ですね。


もちろん各荷主の海上保険でカバー出来るような軽微なダメージであれば、共同海損とはなりませんが、海賊に船を乗っ取られただとか、沈没した場合などは共同海損になるケースが多くなります。この時に海上保険に加入していないと荷主のポケットマネーから損害金を捻出しなければならず、一気に会社が潰れてしまう可能性だってあります。恐ろしいですね。


私も「ブランドバッグが水濡れで全滅」だとか「チョコレートがメルトダウン」とか輸送事故の経験が少なからずあります。

コンテナは完全防水ではないので、コンテナ船の下部に積載されて波を被ったりすると容赦なく海水が侵入したりします。


大企業や外資系企業は他の損害保険と包括で海上保険がカバーされていることが多いので、船積の度に付保する必要もないのですが、事故の経験のない荷主様の中には船会社やフォワーダーが責任取ってくれるのだろう、って思っていることもあるのですね。

仮に船社やフォワーダーのハンドリングミスでダメージ起きても、保証してくれる金額って微々たるものです。(これも約款に書いてあります)


もちろん保険でも利益までは保証してくれません。販売していれば数百万円の利益を得ていたはずが、次の納品を待たなければならないのでは機会損失は大変なものです。お客様にもご迷惑をお掛けします。輸送中の事故は不可抗力ではあるのですが、貿易担当者は営業や店舗担当から突き上げを食らいます。

原因究明や再発防止のレポートの提出を求められ、あたかも貿易担当の過失のように社内で処理されることもあり、そのストレスは大変なものになります。

さらに保険にも入ってなかった、なんてことであればもう失踪したくなります。


保険料はCIF価格の0.3%前後の安いものです。

(CIF価格が100万円なら保険料は3000円程度)

それでCIF価格の110%をカバーしてくれるのですから、絶対に付保しましょう。

もちろん航空貨物も対象です。

ぜひ海上保険はロジスティーダジャパンにご相談下さい。


滅多に事故はおきませんが、起きてからでは遅いのです。

転ばぬ先の保険ですね。




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