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  • hiroyukikira

QCサークルでカイゼンを

日本では工場や倉庫の生産性・精度向上のために、QC活動が用いられることが多い。またQC活動にはQCサークルという小集団が、「自発的に業務外で」職場の問題や課題の解決のための活動を行うとされている。いわゆる課外活動のようなものだ。この「自発的に業務外で」というのが如何にも日本的なのだが、最近では業務の一環として行うことも多くなっている。


QC活動の成功事例の発表の場として、全国大会が沖縄・宜野湾市で開催されており、私も過去に何度か見学したが、参加メンバーは自動車メーカーが多い。3ム撲滅や5Sなどの採用も自動車メーカーが多いのは、それだけ日本の基幹産業ということもあるだろうが、生産性と安全性に対する意識も特に高いということだろう。それでも最近は病院やサービス業などの参加も珍しくなく、もはやQC活動はあらゆる分野に効果をもたらすということを表している。似たような活動にカイゼン活動や5S、3ム撲滅活動などがあるが、QCは特定の業務に対する品質管理(Quality Control)にであるのに対し、カイゼン活動はより包括的で全社的な取り組みをいう場合が多いので、カイゼンが全てを網羅していて、その中の区分けや手法がQCや3ムなのだと思う。この辺は私自身も曖昧だが、目的は同じなので、あまり気にする必要はないと思っている。


目的は何でも対象になりうる。例えば病院の待ち時間が長いだとか、販売クレームが多いだとか、倉庫のピッキングミスが多いだとか、事務所の雰囲気が暗いとか、自分たちの理想とするゴールと現状にギャップがあれば、そのギャップを埋めるのがカイゼンであり、その手法の一つがQC活動だ。


前述の通り、QC活動を実施する小集団をQCサークルと呼び、まずはそのチーム編成を行うのだが、その基本理念は

  1. 人間の能力を発揮し、無限の可能性を引き出すこと。

  2. 人間性を尊重して、生きがいのある明るい職場をつくること。

  3. 企業の体質改善・発展に寄与すること。

とされている。


QCサークルの4つの基本要素は、

  1. グループ力

  2. 改善力

  3. 管理者の支援

であり、特に④の会社側のサポートが重要である。活動が導き出したカイゼンを実施するにはコストが必要だし、そもそも業務をカイゼンするにあたり、会社側のデシジョンがなければ絵に描いた餅である。「自主活動」とはいうが、

会社側が奨励(命令)していることも多い。次のように進めていくことが一般的である。


①QCサークルを結成して、リーダー、サブリーダー、書記、タイムキーパーなどの役割を決める。

 ー チーム編成は極力部門横断型がいい。同じ部門で編成するとアイデアが偏ってしまう可能性があるためである。


②活動テーマと目標を決める

 - テーマと目標の設定は特に重要である。目標が曖昧だと結果も曖昧なものになるので、数値目標を立てるべきである。


③活動テーマに合ったQCストーリーを選定する

 ー QCストーリーとは、「テーマ」「取り上げた理由」「目標の設定」「現状の把握」「解析」「対策の立案」「対策の実施」「効果の確認」「歯止め」「残された問題と今後の進め方」の手順で進めて行くことである。


④活動計画の立案をする

 - 特に重要なのはタイムラインである。時間的制約がないとダラダラといつまでも進まないので、一般的には3か月を1クールとして進める。


⑤改善活動を実施する

 - 進捗状況は常に可視化してサークルメンバーやオブザーバーである管理者が日々確認出来ることが重要である。また定期的にミーティングを行い、活動が計画通りに進んでいるか、予期しない問題が発生していないか確認する。


⑥活動のまとめを行う

 ー 設定した目標を導き出せたかどうかの判定を行い、総括する。目標に至っていなければ、再度「現状の把握」を行い、QCストーリーを繰り返す。 



QCサークル活動を成功させるには「QCの七つ道具」「新QCの七つ道具」を活用することが重要で、まずこの七つ道具を学ぶことが求められる。(これがなかなか難しい)

また、結果を出すためには、4つの基本要素の相乗効果を高めることが重要だ。


QCサークルは職場の問題や課題の解決のための活動を、自発的に行う小集団なため、活動の推進にはメンバーの一人一人が重要な役割を担う。ただ参加するだけでは意味がないのだ。QCサークル活動で成功させるためには、まずメンバーの「熱意、士気、気力」を高める必要がある。業務を効率化して、本当にやるべきことに注力したいという気持ち。自分たちの理想とする品質(サービス)を成し遂げたいという気持ち。誰かに喜んで欲しいという気持ち。それらがなければQCサークル活動で、自発的かつ継続的に力を発揮することはできない。QC活動はあくまでの自主的に行う活動であって、会社に求められて渋々行うものではあってはならないということだ。


QCサークル活動において人の「熱意、士気、気力」を高めるためには、メンバー全員が問題意識を持てる活動テーマの選定、社内チーム間での定期的な相互発表会の開催、社内外のサークル成果発表会やイベントへの参加などが非常に効果的である。他者の取り組みを見ると刺激になり、「我々も!」という気持ちになるものだ。まずは他社の取り組みを見てみるのがいい。「すごいけど、自分たちならもっと出来る」と思えば成功したも同じだ。何も難しい課題だけを対象にする必要はない。例えば「ちむどんどん」の賢秀ニーニーが騙されないようにするにはどうしたらよいか、など身近な問題から取り組んでみるのもいいと思う。


QC活動の細かい手法についてはまた別の機会に触れてみます。




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